Transcendの、32GB USBフラッシュメモリ(TS32GJF700)です。
パソコンに接続して使用していたところ、パソコンの画面が歪んで固まったような状態になり、仕方なくUSBメモリを引き抜いたそうです。
その後、USBメモリは認識しなくなってしまいました。
診断の結果、コントローラーの故障により、データにアクセスできなくなっていることが予測されました。
この場合、コントローラーチップを経由せずに、直接NANDメモリにアクセスして強制的に生のデータ(ダンプ)の取り出しを試みます。
お客様の承諾を得て、まずUSBメモリを分解して、中のチップの形状等を確認します。
分解したところ、32GBのNANDメモリチップが1枚装着されていました。
お客様に正式にお見積りをご提示し、承諾を得ましたので、作業に入ります。
まず、熱を加え基板から丁寧にNANDメモリチップを剥離します。
専用機材でチップ内のダンプデータ(生のデータ)を取り出します。
さて、ここからが本番。根気のいる作業が続きます。
ダンプデータは、1枚のメモリチップ内において、さらに物理的・論理的に、何層にも細分化されて格納されています。
そのため、コントローラーがどのような処理を行っていたか、ダンプデータの解析を繰り返し、元の状態を探り、組み上げる必要があります。
作業は何工程にも及びます。
技術者のノウハウ・腕の見せどころです。
今回は、2週間に及ぶ作業の結果、無事にデータを復旧することが可能でした。
破損ファイルも多く存在しましたが、必要なデータがおおよそ復旧できていることをご確認いただきました。
フラッシュメモリ(USBメモリ、SDカード、MicroSDカードなど)の重度の物理障害の場合、復旧機材のコストおよび作業の難易度が非常に高く、作業日数も長時間に及びます。
そのため復旧費用も安くはありません。
ご来店いただければ、技術的な解説を、できるだけわかりやすく、ご説明させていただきます。
大切なデータですので、お客様自身にじっくりご検討いただいた上で、ご依頼されるかどうかお決め頂いております。