いつもご利用いただいているお得意様から、「Linkstationがネットワークから見えなくなった」とご依頼をいただきました。
4TBのHDDが2台搭載されたLS520D0802です。
HDD2台のRAID1で運用していたので、HDDが2台とも壊れない限り動作するはずなのですが、
HDDが2台とも認識したり、しなかったりと動作が不安定で
2台とも壊れている可能性が高いです。
イメージを取ってみると、不良セクタはゼロでデータはすべて回収可能でした。
データは無事でホッとしたのですが、なぜこのようになったかが気になります。
お客様から、このLinkstationは処分しておいて欲しいとご依頼いただいたので、処分する前に、一体何が原因だったのかを調べてみることにしました。
HDDのSMART情報を取得します。
不良セクタのカウントもありませんが、目をひくのは「ロード/アンロード サイクルカウント」の数字。
100万回を超えています。
ロード/アンロードサイクルカウントとは、ヘッドが待避ゾーンからプラッターへ移った回数を示します。
HDDをレコードプレーヤーにたとえると、レコード針がついているアームをレコード上に乗せる、戻すイメージです。
この数値は機械的な負担がどれだけかかっていたか、すなわち酷使していたかを示す、ひとつの指数として使われます。
このLinkstationにははデスクトップ用のWD40EZRXが2台搭載されています。
WD40EZRXの製品仕様を調べるとロード、アンロードサイクルは30万サイクルです。
つまり、設計上の想定を3倍も上回って酷使されていた、と想像ができます。
使用時間を見ると18873時間、NASなので24時間連続運転していたと想定し、24時間で割ると、786日、約2年ちょっとの期間です。
2年ちょっとで100万回越えとは、かなり過酷な使用状況ですね。
というのも、こちらのお客様は大手の旅行代理店さんで、多数のユーザーがアクセスしていたそうです。
家庭用のNASでは力不足です。
参考として、NAS用に設計されたHDD、WD RED WD40EFRXの耐久性を見てみますと、60万回あるようです。耐久性が倍違うことがわかります。
お客様にご説明したところ、
「丁度機器の入れ替えを検討していたときに起きてしまいました。原因も詳しく調べていただいて、いい勉強にになりました。次回は機材選択をしっかりしたいと思います」とお喜びいただけました。
ご用命ありがとうございました。