あっという間に2月です。時間が過ぎるのが本当に早く感じます。
さて、おなじみバッファローのUSB外付けHDD HD-LB1.0TU2 容量1TBです。
「外付けHDDを接続すると「フォーマットされていません」と表示されます。
色々操作している過程で、フォーマットされてしまったか記憶にない状況。
近所なので、できれば緊急事態宣言解除後に持参したいです。」
とお問い合わせいただきました。
実は昨年の5月の緊急事態宣言発令中にお問い合わせをいただいたのですが、
当店も店頭受付を閉めていたりとなかなかタイミングがなく、
昨年末にお持ち込みいただきました。
エラーメッセージが「フォーマットされていません」なので
ファイルシステムの破損など論理的な障害だといいのですが・・・
分解してみると内部はWDのWD10EARS 2010年製造のラベルが貼ってあります。
10年前ですね。
早速診断機に接続し、診断してみます。
2プラッター4ヘッド
モデル型番も認識するし、容量も正常に認識します。
これはHDDが正常に起動していることを示します。
早速イメージ取得を開始します。
順調に読み進み、いいぞいいそ・・と思いきや
すぐに連続したリードエラー・・・・・
Head0、Head1、Head2は正常に読めるのですが
Head3にさしかかると全く読めません。
Head3の故障です。
ファームウェアの操作を行い、Head3の動作を停止して、
生きている3ヘッド分のディスクイメージを速やかに取得します。
こういう状態だと他のHeadもいつ読めなくなるかわかりません。
とにかく生きているHeadから3面分のイメージデータを回収しました。
ここでお客様の判断を仰ぎます。
作業方針としては
(1)現状で回収できた3面分のデータを復旧する
(2)ヘッドを交換し、取得できなかったHead3番面の回収を試みる
(1)は最後の3がダメで、前の0,1,2に入っていたデータは無事だから、
前の方にあるデータだけは取り出せるのではないか?
と思う方もいるかもしれません。
・・・0面がいっぱいになったら1面、2面、3面に、
と数珠繋ぎのように書き込まれいく仕組みであればその通りなのですが、
そうではなく、4プラッタに分散して記録されています。
仮に120MBのデータがあるとしたら、
0に30MB、1に30MB、2に30MB、3に30MBと分割される形です。
(30MBは説明上の仮定です)
したがって、0,1,2にまたがって格納できるサイズのファイルであれば、
復旧できる可能性も残されていますが、
動画ファイルなど大きなファイルは途中が欠落した状態になるので
復旧不可能が見込まれます。
また、ファイルがどのセクタからセクタにかけて保存されているかを管理する
MFT(マスターファイルテーブル)も破損しているためファイル名が出現しません。
ファイルヘッダーによるベタデータの切り出しによる復旧となり、キレイに復旧することは不可能です。
(2)はクリーンベンチで分解してヘッドを交換します。
ヘッドを交換することにより、読めなかったプラッターが読めるようになれば、
もちろん最善の方法ですが、費用もそれなりに掛かってしまいます。
これらの2つの方針をお話ししたところ、
まず(1)で処置を行って納品し、必要なデータが復旧できているかご自身でよく確認する。
そして、必要に応じて(2)をお願いする。という結論となりました。
そこで0、1、2でデータを復旧してみたところ、写真のデータは比較的出ていますが
動画のデータはほぼ全滅の状態でした。
やはり、ヘッド交換を行ってほしいと(2)の追加のご依頼をいただきました。
ドナーを準備し
ヘッド交換を行いました。
その結果、3番プラッタ上の64,215,222セクタ中、208セクタを除き読み込むことができました。
そして、最初に取得したほかのプラッタ面のイメージを合わせると
ほぼ完全な状態で復旧が可能となりました。
当店ではこのような場合、追加作業の差額のみで作業可能です。
ヘッド交換なしで希望のデータが復旧できるなら、必要以上の費用をかけることはありません。
ご予算、ご希望によって柔軟に対応しています。