富士通 ESPRIMO FH90/A3 大型ディスプレイ一体型のパソコンです。
使っているうちに、だんだんPCの動きが重くなるのを感じていたそうなのですが、ある日突然シャットダウンしてしまい、その後「FUJITSU」の起動画面から進まなくなってしまったとのことです。
メーカーのサポートに問い合わせたところ、修理は可能だがハードディスクの交換になるのでデータは全て消えてしまう、バックアップを先にとっておくように勧められたとのことでした。
ぱっと見、ディスプレイ裏の本体部分に、ハードディスクが入ってそうです。
しかし、そんなに甘くないのでした。
ハードディスクは、ディスプレイの裏側に装着されています。
丁寧に、ディスプレイを取り外します。
機器の分解・解体は、正しい道具を使って正しい順序で行わないと、ネジ穴をダメにしてしまったり、元に戻せなくなってしまいます。なるべくプロに任せましょう。
ハードディスクを取り出しました。
Western Digitalの、WD30EZRX-07D8PB0 3TBのハードディスクです。
診断機にかけると、モーターが回転するものの、再起動を繰り返す状態です。
ハードディスクは、裏側にある基板から信号が送られると、プラッター上のユーザーからは見えない特別な領域(サービスエリア)にあるファームウェアを読み、正常に起動します。
このファームウェアが正常に読み込めないと、ハードディスクは何度も再起動を繰り返す状況に至ってしまいます。
ファームウェアに特別な処置を行い、一時的にHDDを起動させ、その動作している間にデータを強制的に取り出す作業を行います。
上の画像で、黒い部分が不良セクタです。
ファームウェアが正常に読み込めない原因は、不良セクタやヘッドクラッシュによることが多く、この場合、ファームウェア領域だけでなく、データが格納されているユーザーエリアも破損が含まれることがほとんどで、これ以上不良セクタを増やすことなく、またヘッドを摩耗させることなく慎重にデータの回収を行う必要があります。
今回、ほとんどのセクタの回収に成功し、無事に復旧データを納品させていただきました。
ありがとうございました。