少しずつ暖かくなってきました。2月も終わりですね。
年度末なので、官庁や大学関係のお問い合わせやご依頼が続々と入ってきています。
毎年恒例行事といえばそうなのですが、もう少し平均化できないものか・・・とも思うこともあります。
(いえいえ、いつもありがとうございます!)
さて、今回のご依頼はSeagateのBarracuda 7200.12 ST31000528AS
お客様のご申告によると
・LACIE製の外付けハードディスクとして使用していた。
・電源アダプタを差し間違えた後、動作しなくなった。
(電源アダプタ12Vのところ、19Vの電源を投入。)
単体でUSB接続、同型品の制御基板入れ替え等を試みたが、動作しない。
とご依頼をいただきました。
HDDはすでにケースから取り外された状態でした。
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裏面もぱっと見異常はみられません。
基板を外してみました。目視でわかる異常はないようです。
診断機に接続するとアラームが鳴動しました。12Vの電源系統が死んでいます。
この場合、同一型番のHDDから基板を取り外して付け替えても、
モーターは回りますがアクセスできません。
HDDにはHDDそのものを動作させる
「ファームウェア」というプログラム群があって、
ファームウェアは基板にも書かれているのですが、
プログラム全体のごく一部(1%もない)でしかなく、
その大半はプラッター上のサービスエリアと呼ばれる
ユーザーからは見えない位置に書き込まれています。
そして、サービスエリアが書き込まれている位置は、個体によりそれぞれ異なります。
すなわち、基板にはサービスエリアの個体情報が記されているわけで、
同一型番の基板を交換しただけでは動作しないのです。
このため、その個体に適合したサービスエリアを指定して、
HDD自体を強制的に起動させてやる必要があるのです。
こうして一時的に起動させ、100%のデータを復旧させることが可能でした。
注意しなくてはならないのは、異なる基板をつないで電源を入れると、
HDDは自動的に製造時モードとなることがあり、
このモードに遷移すると、既存の個体情報や
サービスエリアの情報が消されてしまう危険があります。
そうするとデータ復旧はほぼ不可能(プロでも不可能)となりますので
ご注意ください。
この度はご用命ありがとうございました。