TranscendのポータブルHDDがUSBコネクタに挿してもドライブが出現しなくなったとデータ復旧をご依頼いただきました。
製品名称はStoreJet 25H3 3TBのポータブルHDDです。パープルのシリコンジャケットに包まれています。
型番はTS3TSJ25H3P、2017年製造なので7年ほど経過しています。
シリコンジャケットはこのように上の開口部分から脱着可能です。
プラスチックの外装ケースを開けます。WD製のHDD、WD30NPZZが搭載されていました。
インターフェースはSATAで上に基板が接続されてUSBに変換しています。
診断機に接続すると、モーターも正常に回転し、型番も容量も正常に認識します。試しに読み取りを行ってみると、数セクタ読ませた段階でBusy状態となり、ハングアップしました。これは不良セクタ多発による典型的な障害です。不良セクタによる代替処理が失敗し、動作が停止しています。
通常、ファームウェアを解析し代替処理を強制的に停止させる処置を行いますが、このWDのHDDは自己暗号化機能が搭載されており、ファームウェア領域へのアクセスがロックされています。
このため、まず基板のロックを解除し、その後ファームウェア領域にアクセスして修復を行い、ユーザー領域にあるデータを強制的に回収する、という三段階の処置が必要となります。
ただ、このHDDはUSB基板が別付けなだけまだマシで、WD MyPassportに内蔵されているUSB基板一体型の場合はデータも暗号化されているため、さらにもう一段、データの復号化が必要となります。