「WD My Bookの電源が入らなくなった。このような状態でも修理できますか?」とLINEからお問い合わせをいただきました。「修理はできませんが、データを取り出すことはできるかもしれません」とお答えし、無料診断にお申込みいただきました。
メーカー:Western Digital
型番:WDBFJK03030HBK-04
容量:3TB
2013年ごろの外付けHDDです。
まず、電源から調べます。ACアダプタの電圧を確認し、既定の電圧が出力されているかテスターで確認します。
定格出力は12V
計測値は12.25V。正しく出力されており、問題ありません。
分解します。
HDDはWDのWD30EZRX 2014年の製造です。
これがUSB変換基板
HDD単体で動作するかチェックします。正常に認識しました。
従って、この外付けHDDはUSB変換基板の故障であることが判明しました。この作業を障害の「切り分け」といいます。
通常、このようにHDDは生きていて、USB変換基板の故障なら、HDDをPCに直接接続するなりしてデータを取り出すことは可能です。
当Blogの読者様ならおわかりかと思いますが、WDのMybookシリーズはデータが「暗号化」されています。これは設定でパスワードロックなしに設定されていたとしても、パスワードがなく解除できるだけで、内部のデータはしっかり暗号化されています。
さらに、この世代のWD MyBookは暗号化だけでなく、「SED」というHDDそのものをロックする機構が備えられています。もう一度先程の診断画面を見てみましょう。
PCに接続すると、型番や容量は正常に認識するものの、セクタを読ませようとするとBusy状態となり応答しません。非常にセキュリティは高いのですが、壊れてしまうと厄介なのです。
このため、WD MyBookからデータを取り出すには
1)HDDのSEDロックを解除する
2)データの暗号化を解除する
の2つのハードルを越える必要があるのです。
お見積りを提出しご承諾いただけたので復旧作業を行いました。
100%のデータを復旧できました。
ありがとうございました。