渋谷区の旅行代理店様から「ビルの停電後にNASの電源が入らなくなった」とご依頼をいただきました。
障害を起こしたNASはBUFFALOのLinkstation LS-WH1.0TGL/R1です。
500GBのHDDが2台入ったモデルで
500GB+500GBの1TBとして使う「RAID0モード」、
2台の500GBのHDDに同じデータを書き込む「RAID1モード」、
500GBが別々に認識する「通常モード」の3種類のモードを持っています。
ただ、このモデルは出荷時設定はRAID0モードになっています。
RAID0だと、復旧料金も高いですし、どちらかのHDDが復旧できないほど壊れていれば
すべてのデータが失われることを意味します。
こうした場合、「片側のHDDからでも出せませんか?」と言われることがあるのですが
片側を出したところでデータのコマギレしか出てきません。
RAID0の仕組みを詳しくご説明すると
「RAID0ってそういう意味だったんですか・・・」と初めて知るお客様も多くおられます。
今回、RAID1に設定されていればいいのですが。
内部のHDDは日立のHDP725050GLA360 出荷時そのままのようです。
診断してみると2台ともHDDには損傷は及んでいません。
RAIDの状態を調べてみるとRAID1で、1番、2番とも中のデータに相違はないようです。
良かった。
お見積りを提出しご依頼いただきました。
復旧は完了し、データは無事保全できたので原因を探ってみます。
Linkstationに電源をつないでみるとやはり電源は入りません。
分解して電源ユニットを見てみると、コンデンサに膨らみが出ています。
おそらくこれが原因でしょう。
NASはいったん電源を入れると、停電でもない限り電源を切りません。
しかし、電源ユニットは静かに確実に劣化しています。
今回、停電というトリガーで電源が切れ、再度入れなおそうと思ったら
劣化が進んでいて起動できるほどの能力がなくなっていた、ということです。
ビジネスホンとかネットワークのスイッチングハブも停電後、同じような状況に陥ることが多いです。
このLinkStationも、HDDの製造年月日から想定すると2009年の2月頃に製造されたものと思われます。
さすがに13年。電源ユニットも経たります。
今回、お客様には大変お喜びいただけました。
ご用命いただきありがとうございました。