当社のご近所、神田佐久間町の電気設備会社様から「工事写真を取り込もうとしたら写真が消えていた」と復旧のご相談をいただきました。カメラはリコーのWG-70、メモリカードはTracscendの16GBのSDカードです。

詳しい状況を伺うと、現場で写真を撮り、会社に戻ってパソコンにSDカードを差し込んでもファイルが何一つ表示されない状態で、もちろんカメラ上で正常に写真が撮れていることは確認しているそうです。
診断機に接続して状態を確認します。
SDカードは正常に認識され、FAT32のパーティション、DCIMのフォルダ内に日付で作成されたサブフォルダも検出されています。しかし、フォルダ内を展開しても、ファイルが一つも見当たりません。

FATを解析し、削除ファイルを表示させてみますが、以前に撮影して消去したフォルダは検出されるものの、今回の現場写真は一つも出てきません。

これはファイル管理テーブルに矛盾が生じている状態と思われます。
このような状態では、ファイル名をキーにデータを探すことは難しいので、ファイルヘッダーとEXIF情報による解析を行います。ファイルヘッダーとは、ファイルの先頭にある特徴的なデータで、JPEGならデータの先頭部分は必ず「FFD8」で始まります。

そして最終部分は「FFD9」で終わります。

そして、EXIF情報には、撮影したカメラや撮影時間の情報が記録されています。

この情報を解析することにより、特定の日時に撮影された画像ファイルを復旧させます。

欲しかった現場の写真がすべて検出されました。このように、ファイル管理情報が破損してもデータを取り出すことが可能です。但し、ファイル管理情報が失われると、データの実体が入っている領域は使用可能状態となり、別のデータによって上書きが可能となっています。このため、データの上書きが発生しないように書き込みをロックするなど、取り扱いには十分な注意が必要です。
この度はご用命いただきありがとうございました。