「あったはずのデータがごっそり消えている!」とSSDのデータ復旧をご依頼いただきました。
ELECOM製のポータブルSSD ESD-ED0960GBKです。名刺サイズの大きさで、2019年ごろのモデルです。使っているうちに、データが消えてゆき、おかしいな?と思って、新しいSSDに移行しようとしていたところ、あったはずのフォルダがごっそりと消えていたとの状況です。
フォルダやデータが消えるのは「CHKDSK」によることが多いです。WindowsはSSDやHDDのファイル構造やフォルダ構造に矛盾が生じると、CHKDSKという修復ユーティリティが起動します。ここで「修復する」を選ぶと、修復というよりも矛盾が生じたファイルやフォルダを「切り捨てる」という乱暴な処置を行います。
なぜ、フォルダ構造に矛盾が生じるかといえば、SSDの記録素子に異常が発生しているからで、使い続けると記録素子の異常がどんどん進行し、最終的にはまったく認識されなくなってしまいます。論理障害に見えるけど実は物理障害だった、という典型的な症状です。
このため、障害がおこった媒体で論理解析を行うのは危険で、専用の機材でSSDに記録されているデータをセクタ単位で全コピーを行い、一旦データを保全します。その後論理解析を行い、9割程度のデータが復旧できました。残りの一割はCHKDSKにより切り捨てられて名前が消失しているものの、データの内容は保持されており、そのうちの7割程度は復旧可能でした。
CHKDSKを実行して直ることはまずありません。CHKDSKがかかるとファイル名やフォルダ構造が消失してしまうことがありデータ復旧が厄介になりますので、もし、CHKDSKを実行しますか?とダイアログが出た場合、必ず「キャンセル」を押して、早めにご依頼いただくことをお勧めします。